2020/06/04
借地に建てた実家の処分について、頭を悩ませています。
今回は、とある不動産会社から、地主に借地権を買い取ってもらい、そのお金で実家を解体したらどうか?とアドバイスをいただいたいたので、「地主に借地権を買い取ってもらえるか?」というケースについて、考えてみたいと思います。
借地権を地主に買い取ってもらうためには。
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借地権を地主に買い取ってもらうために必要なこと
借地権は、借りる側である借地人の都合で自由に売れるものではありません。借地権を売る際に知っておくと、借地権の売買がスムーズにいくポイントがあるそうなので、しっかりと押さえておきたいものです。
借地権を売るには地主の承諾が必要
借地権を売ろうと考えたら、まず始めに、地主に借地権を売りたいと伝え承諾を得ましょう。地主が買い取ってくれれば良いですが、そうでない場合は第三者へ売りに出すことになります。
地主が借地権を売ることを承諾してくれなければ、原則として、借地権を売ることはできません。どうしても借地権を売りたい場合には、裁判所に申し立てることになります。
しかし、裁判所を通すほどもめた土地なんて、買い手がつかないものです。そのため、地主とは日頃から良好な関係を保っておいて、できるだけ話し合いで済むようにしたいものです。
借地権の売るには地主との連携が必要
借地権は「建物を建てる権利」なので、土地自体の所有権は保有していません。また、底地権は土地だけの権利なので建物に対しての権利ではありません。
借地人が持つ借地権の売却で利益を得ようと思った場合、建物に価値がないとなかなか難しいものがあります。また、地主が持つ底地権は土地だけのものなので、そこに建物が建っていないと利益を生むのが難しいといった現状があります。
ですから、借地権を売って利益を得たい場合には、土地の権利を持つ地主と建物の権利を持つ借地人が連携することが重要です。
借地人は借地権が高値で売れれば利益になりますし、地主は土地を借りてくれる人がいれば地代や更新料といった不労所得を得ることができます。地主と借地人が協力して売却できるよう、交渉を進めていくことが大事です。
借地権の売却に詳しい不動産会社を見つけること
地主と借地権の売却交渉を行う場合ですが、地主と借地人だけで交渉すると、お金や権利の絡んだ問題があるためにうまく進まないこともあるようです。
借地権の売却交渉をうまく進めるためには、借地権の売買に詳しい不動産会社を見つけて、地主と借地人との間に入ってもらうのが良いと聞きます。交渉がうまく進められれば、地主に借地権を買い取ってもらえる可能性が出てきますからね。
借地権を買い取ってもらえる4つの方法
借地権を買い取ってもらえる4つの方法がありましたのでまとめてみます。
1.地主に借地権を売却する
借地の土地所有者である地主に買い取ってもらう方法です。地主が承諾すれば、金額などを話し合って売却することができます。地主には、借地権が売りに出された際に優先的に買い戻せる権利があるので、地主に借地権を買い戻してもらえるかどうかを聞いてから、第三者へ売り出すのが自然な流れだと思います。
建物が立っている場合は、建物を解体し、更地にして返す必要があります。売却する借地権の利益分から建物の取り壊し費用を引いた多分が、借地人の利益になります。
借地権の売却価格については借地権に詳しい不動産会社に査定をしてもらって、その金額を提示して交渉すると、専門家が提示した金額ということで、地主も納得してくれることが多いようです。
2.借地権を第三者に売却する
地主から借地権売却の承諾が得られた場合、第三者に借地権を売却することができます。勝手に売却してしまうと法律違反となり、借地権が消失してしまうこともあるから注意しましょう。
第三者へ借地権を売却する時には、借地人は地主に対して、譲渡承諾料という一時金を支払う必要があります。また、買い取りたいという第三者が、建物の解体を希望したときには、売り主側が建物を取り壊し引き渡すことになっています。
したがって、解体など諸々の費用と借地権の売却価格を比べて、どのようにすればよいか考えていくことになります。
3.借地権者と地主とで借地権と底地を同時に第三者に売却する
借地人が持っている借地権と、地主が持っている底地権を合わせて第三者へ売却する方法もあります。第三者は土地と建物両方の権利を購入することで、所有権のある不動産を手に入れることができます。借地人が借地権の売却をしたいと考えているだけでなく、地主側も土地を売りたいと思っている場合に有効です。
ただし、このケースは借地人と地主の連携が重要です。どちらか一方の意見にかたよって
しまうとうまく進みません。密なやり取りや専門知識が必要になってきますので、借地権や底地権に詳しい不動産会社の力を借りましょう。
4.地主から借地権売却の承諾が得られず、裁判所による「借地非訟手続き」により第三者に売却
借地権の売却を地主が認めてくれない場合にとる方法が「借地非訟手続き」です。非訟とは、裁判所が民法上の問題について、裁判をしないで簡易的に処理することです。
「借地非訟手続き」をとると、裁判所から「土地所有者の承諾に代わる許可」を得ることができ、地主の承諾が得られなくても借地権の売却が可能になります。しかし、裁判所を通すほど借地人と地主の関係が悪化してしまっている物件ということで、不動産会社に売りに出しても販売価格が安く設定されがちです。
よって、「借地非訟手続き」をおこなうのは、最後の手段と考えておいたほうがよいです。借地人と地主の双方にとってデメリットが大きい方法です。
地主に借地権を買い取ってもらうためにも地主とは良好な関係を築いておくこと
地主が借地権の買戻しに応じることはあまりないと聞きます。地主には、借地権の買取義務がないからです。借地人が借地権を地主に返す場合には、更地にするのが借地人の義務なのです。しかし、地主との交渉によっては、更地にすることなく現況のままで返すことができたり、地主が解体費用を負担してくれる場合もあるそうです。
どうしても借地権をお金にしたいということであれば、地主ではなく、第三者への売却を検討するほうがよいそうです。借地権を売却するには地主の承諾が必要になりますが、借地権の取引に精通している不動産会社なら、地主との交渉を請け負ってくれたり、不動産会社自体が借地権を買い取ることで、うまく話を進めてくれます。また、地主の承諾が得られない場合でも、借地非訟という制度を活用して、借地権を買い取ってくれる会社もあります。