2020/06/04
会社が倒産するときには、財務諸表にその兆候が表れてきます。
典型的な例としては、「累積損失(累損)」といわれる「累積赤字」が毎期積み上げられていき、「債務超過」と呼ばれる経営状況に陥り、ついには会社がが破産するケースです。
目次
累損とは?債務超過とは?債務超過で会社は倒産?
では、
累損(累積損失・累積赤字)とはどのような経営状態をいうのでしょうか?
債務超過とはどのような経営状態をいうのでしょうか?
また、債務超過になったら倒産は免れないのでしょうか?
これらについて書いていきます。
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累損(累積損失・累積赤字)の経営状況とは?
累損とは、累積損失・累積赤字の略称です。
簡単に言うと、会社が事業の運営や投資を行った結果、支出が収入より多く出てしまったことを言います。
債務超過に陥った経営状況とは?
簡単に言うと、累損(累積損失・累積赤字)が資本金を超えた状態のことです。
言い方を変えると、過去の累積損失・累積赤字で資本金を食いつぶしたことをいいます。
債務超過を分かりやすく説明します。
債務超過を理解するために、まず資本金の仕組みを理解しましょう。
資本金とは、会社を設立するために会社の発起人等が出資した運転資金をいいます。
その会社が順調に事業を運営すれば、事業活動により得た利益が純資産の中の自己資本に上積みされていくのです。
自己資本とは、自分自身で調達した資金のことです。
会社を設立時に出資を受けた資本金と、会社が事業運営で得た利益を貯めるところである利益剰余金の合計が、自己資本、いわゆる純資産となります。
借入金等の他人資本とは違い返済義務がありません。
※自己資本(純資産)=資本金+利益剰余金
会社の経営が堅調で、常に利益を得ている状態であれば、資本金よりも純資産が下回ることはありません。
一方で会社が赤字経営となり当期純損失が出てしまうと、利益剰余金が減少していくことになってしまいます。
債務超過とは資本金と利益剰余金を食いつぶすこと
赤字経営が続き会社の利益剰余金がマイナスとなり、そして利益剰余金のマイナスを資本金で補えなくなると、会社の総資産より債務(流動債務・固定債務)が多くなります。
さらに、利益の貯金である利益剰余金と資本金のすべてを食いつぶした状態のことを「債務超過」といいます。
債務超過になったら会社は倒産するのか?
債務超過になった会社はほぼ倒産状態です。
返済義務のある他人資本の金額が純資産を上回った状態で、金融機関等からは、あらたな融資を受けられなくなります。
それにともない資金繰りが大変厳しい状態になりますので、早急に会社再建に向けて手を打たなければいけません。
会社が倒産すると経営者ばかりでなく、
社員やその家族、
取引先やその家族など
全ての関係者を不幸にしてしまいます。
そのような会社の最悪の事態、すなわち倒産を免れるためには、
経営者に対して
社員に対して
債権者に対して
痛みをともなう対策を打つほかありません。
役員報酬の大幅カットもしくは返納、
不採算部門の閉鎖、人員整理等のリストラに踏み切り、
債権者に対して債務返済計画を説明し支払いを待っていただく。
このような、経営者にとって決死の覚悟でのぞむ対策を打てば、V字回復を果たす望みが出てきます。
ようするに、経営者に覚悟があるか、で決まります。
まとめ
累損(累積損失・累積赤字)と債務超過について分かりやすくまとめたつもりですが、
後半になって専門用語を頻繁につかってしまいすみません。
もっと詳しく知りたい方には、書籍をご紹介したいと思います。
こちらは累損とは直接関係はありませんが面白いですよ。
コメント
経営方針改めて Ⅴ字回復した時の決算で累積損失も計算されるのでしょうか?その時の税金はどうなるでしょうか?
by 鈴木保 2021年6月7日 7:00 AM
はじめまして!コメントありがとうございます!
情報が少ないので推測が入りますが、累損を抱えていた会社がV字回復(=当期純利益がプラス)となれば、その分累損は小さくなります。
そこは淡々と計算されます。
一方、税金は、累損の会社でも納税することがあります。それは会計上の累損と税務上の損失は異なる部分があるからなのです。
これを説明すると長くなるので、お知り合いの税理士に質問していただければと思いますが、
累損の要因となった費用が税務上認められる費用か否かがポイントになります。
もっと詳しい回答がほしい!というご要望があれば、詳細をお聞かせください。少しだけお力になれるかと思います。
今後もよろしくお願い申し上げます。
by 2020hebo 2021年6月9日 6:53 PM